介護をもっと楽にする 介護保険制度

【元ケアマネが教える】介護保険外サービスで負担を軽減|穴場サービス活用法

「介護保険サービスだけでは、どうしても手が回らない」「こんなこと、誰に頼めばいいの?」そう感じていませんか?

介護保険は、高齢者の生活を支える大切な柱です。しかし、掃除や草むしり、話し相手といった「ちょっとした手伝い」や、心のケアなど、保険外のニーズには応えきれないのが現状です。

この記事では、14年間のケアマネ経験を持つ私が、情報が届きにくい地域の役立つ「穴場サービス」を解説します。介護保険外サービスや地域資源を賢く活用し、あなたの介護の負担を減らすためのヒントに役立ててください。

なぜ介護保険外サービスが重要なのか?

多くの人が、「介護は介護保険で賄うもの」と考えがちです。しかし、介護保険は身体介護や生活援助など、サービスの範囲が法律で厳密に定められています。

その結果、以下のようなニーズには応えきれないことがあります。

  • 公的サービスの限界

介護保険の訪問介護で頼める家事は、あくまでも介護が必要な本人の生活に必要な範囲のみです。さらに、同居家族がいる場合は原則として家事支援を頼むことはできません。

また、一人暮らしの高齢者の場合でも、本人が利用する部屋の掃除や調理に限定されるため、来客用の部屋の掃除やペットの世話、草むしりや窓ふき、家具の移動や特別な調理(お正月の料理など)、日用品以外の買い物などは行えません。

Memo

散歩の介助も公的サービス外
散歩の介助も、自治体によっては訪問介護では対応できない場合があります。これは、介護保険が介護を受ける側の自立支援を目的としており、散歩は直接的な身体介護と見なされないことがあるためです。

  • 本人の生きがい

デイサービスなどのレクリエーション以外に、趣味や外出をサポートするサービスは限られています。

  • 精神的な支え

誰にも言えない悩みを相談したり、同じ境遇の人と話したりする場所は、公的機関だけでは不足しがちです。

介護の相談窓口であるケアマネジャーは、複数の担当利用者や、多岐にわたる調整業務を抱えており、常に多忙な状況です。そのため、介護者の精神的な支えを常に提供することは難しいのが現状です。

こうしたニーズは、介護保険外サービスや地域資源を活用することで、補うことができます。

知られざる地域資源|本当に「使える」穴場サービス

介護の負担を減らし、本人の生活の質(QOL)を向上させるために、ぜひ活用してほしい穴場サービスを紹介します。

1. 「ちょっとした手伝い」を頼める地域サービス

介護保険では頼めない、細かなニーズに応えてくれるサービスです。

  • 地域の助け合いサービス

住民同士が助け合うことを目的とした有償ボランティアサービスです。買い物の同行、電球の交換、庭の手入れ、病院の付き添いなど、専門的な介護を必要としない「ちょっとした手伝い」を安価に依頼できます。

【例】
各市町村の社会福祉協議会が運営する「ふれあいサービス」や、NPO法人が運営する「地域たすけあいネットワーク」など。

  • シルバー人材センター

高齢者が働く機会を提供する団体ですが、高齢者の生活を支援するサービスも充実しています。庭木の剪定や電球の交換、掃除代行など、専門的な技術を伴う作業も安心して任せられます。

【例】
各地域の市区町村が運営する「シルバー人材センター」。

  • 福祉有償運送サービス

通院や買い物、外出時に利用できる移動サービスです。介護タクシーよりも安価な場合が多く、車いすのまま乗れる車両を用意している団体もあります。

【例】
NPO法人や社会福祉協議会が運営するサービス。

これらのサービスは、公的機関や地域の団体が運営しているため、介護保険の枠を超えた細やかな支援が期待できます。

2. 心の負担を軽くするピアサポート&相談窓口

介護は孤独になりがちです。同じ悩みを抱える人と話すことで、心は大きく楽になります。

  • NPO法人やボランティア団体の相談窓口

介護者が抱える悩みや不安を、専門知識を持った相談員が無料で聞いてくれるサービスです。公的な相談窓口とは異なり、より個人的な感情に寄り添った対応を期待できます。

【例】
認知症の方を支える家族の会を運営するNPO法人や、介護に関する電話相談を受け付けている団体など。

  • 当事者の会(家族会)

認知症の方を介護する家族の会など、同じ境遇の人々が集まる場です。悩みを共有し、共感し合うことで、精神的な支えを得られます。

【例】
全国に支部がある「認知症の人と家族の会」や、各地域の家族会。

  • 民間のオンラインコミュニティ

匿名で利用できるコミュニティサイトやSNSグループでは、時間や場所を問わずに悩みを相談できます。

【例】
FacebookやLINEの非公開グループ、介護や子育てに特化した専門のQ&Aサイトなど。

こうしたサービスは、誰にも言えなかった悩みを言語化し、同じ境遇の人とつながることで、心の負担を軽くしてくれるでしょう。

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3. ニーズに合わせて選べる新しい自費サービス

介護保険では利用できないサービスを、個人が費用を支払って利用する「自費サービス」にも、新しい形が増えています。

  • 移送・外出支援サービス

介護タクシー以外にも、観光や旅行の付き添い、美術館やデパートへの外出をサポートするサービスがあります。

【例】
旅行会社や民間事業者が提供する「旅行・外出サポートサービス」など。

  • 家事代行サービス

家族の分も含めた掃除や、作り置き料理、ペットの世話など、介護保険では依頼できない家事を幅広く依頼できます。

【例】
大手から地域密着型まで、様々な家事代行会社が提供しているサービス。

  • 見守り・話し相手サービス

離れて暮らす家族に代わり、定期的に訪問して安否確認をしたり、話し相手になったりするサービスです。

【例】
民間の見守りサービス事業者や、NPO法人などが提供するサービス。

これらのサービスを賢く利用することで、介護保険だけでは叶えられなかった、より豊かな生活を送ることが可能性が広がります。

地域資源の見つけ方と活用術

こうした穴場サービスは、どのように探せばいいのでしょうか?実は、あなたの地域の身近なところに、役立つサービスがたくさんあります。

  • ケアマネジャーに相談

地域の介護サービスに精通している担当ケアマネジャーに、「こういうサービスはありませんか?」と聞いてみましょう。ケアマネジャーは様々な情報を持っているため、役立つ情報を提供してくれます。

  • 市区町村の広報誌やウェブサイト

市区町村が提供する独自のサービスや助成金が掲載されていることがあります。各市区町村のホームページや広報誌で確認するか、役所の窓口で直接聞いてみましょう。

  • 地域包括支援センター

介護の総合相談窓口です。介護保険外のサービスについても情報を提供してくれます。介護サービスだけでなく、地域の医療機関やボランティア団体など、幅広いネットワークを持っています。

こうした情報源をうまく活用することで、あなたにぴったりの支援が見つかり、介護の負担を大きく減らすことができるでしょう。

まとめ

介護の負担を減らし、心身ともに健康な状態を保つためには、介護保険サービスだけでなく、地域に眠る様々な支援制度やサービスを賢く活用することが重要です。

あなた一人で頑張りすぎる必要はありません。地域の「穴場サービス」は、あなたの介護生活を豊かにするための心強い味方です。

まずは一歩踏み出して、ケアマネジャーや地域の相談窓口に「こんなことで悩んでいる」と話してみましょう。

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