
「デイサービスに行ってもらっているけど、うちの対応で迷惑をかけていないかな?」
デイサービスは、要介護者ご本人の自立支援とご家族の介護負担軽減に欠かせないサービスです。しかし、送迎時のわずかな手違いや情報共有の不足が、他の利用者や職員に大きな影響を与えてしまうことがあります。
この記事では、デイサービスで管理者も務めた元ケアマネである筆者が、現場の視点から「職員と協力しあい、質の高いサービスを継続する」ための具体的な「5つのポイント」と「連携のコツ」を解説します。
1. 健康管理の基本:朝の準備と排泄の情報共有

デイサービスでの活動を安全に楽しむためには、自宅での準備が非常に重要です。
必須:朝食と水分を摂ってから通所する
デイサービスは活動量が多いため、安全かつ効果的にサービスを利用するには、活動に必要なエネルギーと水分を確保することが基本です。
朝食の重要性(エネルギーの源)
- 転倒のリスク
朝食を抜くと低血糖のリスクが高まり、ふらつきや意識障害から転倒につながる可能性があります。
- 活動に影響
エネルギー不足は集中力や判断力の低下を招き、活動中の事故リスクを高めます。
- 食が進まない場合
バナナ、ヨーグルトなど口にしやすいもの、または栄養補助食品(1パック200kcal程度の飲料やゼリー)を活用し、エネルギーを確保してください。
水分補給の徹底(脱水予防)
- 脱水の危険
脱水は体調不良に加え、筋力低下や転倒リスクの上昇につながります。特に認知症の方は、脱水で落ち着きがなくなる、イライラ、帰宅願望などBPSD(行動・心理症状)の悪化を招きます。
- 目安
起床時と朝食時にコップ1杯(それぞれ150~200ml程度)の水分を摂りましょう。送迎前にトイレを済ませると安心です。午後通所の場合も、午前中に意識して水分を摂ってください。
朝食や水分を摂らずに通所すると、ご本人の活力が低下し、活動拒否や体調不良につながります。家庭の都合で朝のケアが難しい場合は、必ずケアマネジャーやデイサービスに相談し、訪問介護などの朝のサポートを積極的に依頼してください。
便秘の日数を伝える(体調と活動への影響を避けるために)
排便状況は体調管理のバロメーターです。便秘はデイサービスでの活動に大きく影響するため、便秘が続いている場合は必ず職員に伝えてください。
- 不快感と集中力低下
腹部の不快感や痛みが生じ、一日の活動への集中力が著しく低下します。機能訓練やレクリエーションに積極的になれず、サービス効果が薄れてしまいます。
- 認知症の症状悪化
硬い便が溜まると交感神経を刺激し、特に認知症の方はイライラや興奮、強い帰宅願望といった行動(BPSD)につながることがあります。その結果、入浴や体操などを頑なに拒んだり、デイサービスから家族へ帰宅を促されたりするケースもあります。排便コントロールは、ご本人が穏やかに過ごすために非常に重要です。
- 体調不良に陥るリスク
便秘が何日も続くと、腹痛や吐き気、食欲不振などにつながり、体調不良を招くリスクがあります。その結果、職員が体調不良と判断し、デイサービスを途中で中止(早退)せざるを得なくなる場合があります。
- 排便コントロールの連携
排便の状況が分かれば、デイサービス側でも、水分摂取を意識的に促したり、腹部マッサージを行ったりといった適切な対応ができます。また、本人が苦しそうであれば、必要に応じて看護師が排便を促す薬剤(座薬など)の使用についてご家族と連携を取り、医療的なケアを行う判断材料となります。
- 具体的な情報提供の目安
2~3日排便がない場合は、必ず送迎時や連絡帳で職員に伝えてください。
排便はデリケートな情報ですが、ご本人の安全で快適な活動のために非常に重要です。遠慮せず、正確な日数を伝えるようにしてください。
2. 送迎時のマナー:時間厳守と事前連絡の徹底

デイサービスの送迎は、多くの利用者の自宅を回る「ルート送迎」です。わずかな遅れが全体に波及するため、時間に関する配慮は特に重要です。
時間厳守と双方向の連携を徹底する
- ご家族側の準備遅延の場合
ご本人の準備が遅れそうな場合は、早めにデイサービスへ連絡してください。わずかな遅れでも、他の利用者様の送迎時間や、次に控える訪問ヘルパーの訪問時間に影響が出てしまいます。
- デイサービス側の送迎遅延の場合
逆に、道路事情や前の利用者様の対応により、デイサービス側の送迎が遅れる場合もあります。送迎時間に関する事業所の連絡ルール(例:何分以上の遅れで連絡するか)を事前に確認し、予定時刻になっても来ない場合にご家族から連絡が必要かも含め、相談しておきましょう。
- ご家族による迎え入れが必要だが、時間に間に合わない場合
ご家族による迎え入れが必要なにもかかわらず、帰宅が遅れるなどでご本人が長時間一人になってしまう場合は、必ず事前にデイサービスに連絡し、対応(例:デイサービスでの待機、訪問介護の調整など)を相談してください。
3. 薬の準備と情報共有

利用中に安全・適切に対応するために、ご家族からの情報提供は不可欠です。
薬が変わったら必ず知らせる(服薬ミスと体調急変を防ぐために)
デイサービスでは、看護師や介護職員が薬の飲み間違い(誤薬)を防ぎ、利用中の体調変化に適切に対応するため、正確な情報が必要です。
- 薬の変更・中止は最重要事項
処方されている薬(特に新しい薬や量が変更になった薬)は、副作用の確認や体調の変化を把握するために、必ずデイサービスの看護師または職員に伝えてください。自己判断で中止した薬がある場合も同様です。内服状況が前回と変わった点は必ず報告しましょう。
- 体調急変リスクへの備え
デイサービス側は、薬の情報をもとに、ご本人の状態(血圧の変動、眠気、食欲不振など)を観察しています。情報が不足していると、薬の副作用による体調不良を見逃したり、誤った対応を取ったりするリスクが高まります。
- 持参する薬の準備と誤薬防止
デイサービスで内服が必要な薬は、ご家族に準備をお願いしています。多くの利用者様の服薬を管理する現場でヒューマンエラーを防ぐため、ほとんどの事業所では、「服用する分だけ」「1回分を1つの袋やケースにまとめる」といった準備をお願いしています。
4. 連絡手段の活用と情報共有のコツ

「薬の連絡」とは別に、ご自宅での様子や小さな変化を伝えることも、デイサービスのサービス向上に不可欠です。情報を『正確に』『もれなく』伝えるための手段とコツを知っておきましょう。
連絡事項は簡潔にまとめておく(デジタル化の活用も視野に)
連絡事項は、送迎時の限られた時間では正確に伝わりにくいものです。重要な情報や口頭での説明が難しいことは、必ず書面や記録に残しましょう。(連絡帳がある場合は、ぜひ活用を!)
- 連絡手段の多様化
従来の連絡帳を活用するデイサービスが多いですが、近年は専用のアプリで体温、食事量、排便などを記録・共有する事業所も増えています。
- デジタル化のメリット
アプリなどのデジタルツールは、リアルタイムで情報が確認できるため、職員間の共有がスムーズになり、伝達ミスを防ぐメリットがあります。
- 準備の徹底
どのようなツールであっても、ご家族は送迎までに必要な情報を入力・記入し、職員が確認できるように準備しておくことが大切です。特に伝えたいことは、「〇ページを見てください」などと口頭で伝える一言も添えると確実です。
5. 転倒を防ぐ!安全な服装と室内履きの選び方

デイサービスでの活動は、安全に行動し、機能訓練の効果を最大限に引き出すために、適切な「装い」が求められます。
服装(快適性と活動性)
- 原則
動きやすく、脱ぎ着しやすい服を選んでください。身体を動かす体操やレクリエーションが多いデイサービスでは、体を締め付けるものや、裾が長すぎて引っかかりやすい服は危険です。
- 機能訓練や入浴がある場合
デイサービスでの滞在中に機能訓練がある場合は、関節の動きを妨げない服や、入浴に必要な着替え・下着を忘れずに準備しましょう。特に寒い時期は、温度調節しやすいよう重ね着(カーディガンなど)を持たせると安心です。
室内履き(最も重要な転倒予防策)
- 理想の履物
転倒防止のため、滑りにくい靴底で、かかとがしっかり覆われている靴(運動靴タイプやリハビリシューズ)が理想です。
- 危険な履物
スリッパやクロックス、サンダルなど、脱げやすい履物は、つまずきや転倒の最大の原因になります。また、靴下が滑りやすい素材の場合も危険です。
- サイズの確認
靴のサイズが合っていないと、歩行が不安定になり、これも転倒につながります。定期的にサイズが合っているか確認しましょう。
デイサービスでは、自宅と異なり多くの人が行き交います。履物一つで転倒リスクは大きく変わるため、「自宅と同じでいい」と考えず、安全を最優先した室内履きを選ぶようにしてください。
まとめ:デイサービスは「チーム」で利用する
デイサービスは、ご家族と職員が連携してご本人の生活を支える「チーム」です。
- 報連相(報告・連絡・相談)を密にすることで、ご本人の状態変化にいち早く気づき、より質の高いサービス提供につながります。
- ご家族のわずかな気配りや情報提供が、デイサービス全体の円滑な運営と、他の利用者も含めた全員の安全につながります。
「こんなこと言わなくてもいいかな」と思わず、些細なことでも積極的に職員に相談・連絡してみましょう。


