介護保険制度

ケアマネージャーはどこにいる?「役所は教えてくれない」良い担当者を最速で見抜く3ステップ

2024年7月20日

「親が急に倒れた、退院が迫っている。でも、ケアマネージャーってどこにいるの?」 「役所でリストを渡されたけれど、結局どこがいいのか誰も教えてくれない」

今、この文章を読んでいるあなたは、「急いで決めなければならない」と、猛烈な焦りと不安の中にいるかもしれません。

結論から言います。ケアマネージャーは「居宅介護支援事業所」という看板を掲げた場所にいます。しかし、ただ名前を知るだけでは不十分です。介護の質は、ケアマネージャーとの相性で8割決まります

役所では絶対に教えてくれない「優秀なケアマネジャーの捕まえ方」と「電話一本で実力を見抜く質問」を、元ケアマネージャーの視点から3つのステップで解説します。

※本記事では、検索されやすい「ケアマネージャー」という言葉を使用していますが、ここからは正式名称である「ケアマネジャー」と表記して解説を進めます。

STEP 1:最初の電話先を確定させる。状況別の「最短窓口」はここ

ケアマネジャー探しでまず大切なのは、「今の状況に合った、正しい相談先」を選ぶことです。適切な窓口を選ぶことで余計な手間を省き、最短ルートでサポートを受けることができます。

現在の状態連絡先(ケアマネジャーがいる場所)
要介護1〜5(すでに認定がある・入院中)居宅介護支援事業所
要支援1〜2・またはまだ申請していない地域包括支援センター

Memo

  • 申請: 本人がお住まいの市区町村の窓口(介護保険課や地域包括支援センターなど)に「介護が必要になった」と書類を出すこと。
  • 認定: 調査の結果、市区町村から「介護レベル(要介護度)」の結果通知が届くこと。

もし、まだ申請をしていない、あるいは結果を待っている状態なら、迷わず「地域包括支援センター」へ連絡してください。ここは市区町村から委託を受けた「高齢者の総合相談窓口」であり、申請手続きのサポートから、認定が出るまでの相談を一手に引き受けてくれます。

地域包括支援センターへの相談方法は?相談は無料!

最速ルート:入院中なら「自分で探す」前にプロを動かす

親が入院中で退院を急かされているなら、自分で探し始める前に病院の「ソーシャルワーカー(MSW)」を頼ってください。彼らは地域のケアマネジャーと直通のネットワークを持っています。「自分では探せないので、連携している事業所をいくつか紹介してほしい」と依頼するのが、最も確実で速いショートカットです。

次の一手:病院に相談員がいない、または在宅の場合

病院にソーシャルワーカーがいない場合や、すでに自宅で生活している場合は、表の通り「地域包括支援センター」が窓口になります。ここで、地域にある事業所が載った「リスト」を受け取るところからスタートします。

元ケアマネジャーからのアドバイス

なぜ窓口は「ここが良い」と教えてくれないのか?
窓口で膨大なリストを渡され、「この中からご自身で選んで連絡してください」と言われると、あまりに事務的で途方に暮れてしまうかもしれません。しかし、これは行政機関が特定の1社を推奨してはいけないという「公平性」のルールを守らなければならないからです。

決して、あなたを突き放しているわけではありません。彼らが立場上口にできない「絞り込み」を、ここから一緒に行っていきましょう。

次のステップでは、そのリストの中から「わが家の状況に合う担当者」を見極めるための具体的な基準をお伝えします。

STEP 2:渡された「事業所リスト」から候補を絞り込む

膨大なリストを上から順に電話するのは時間がかかりすぎます。まずは以下の「2つのポイント」で、連絡すべき事業所を絞りましょう。

ポイント1:「家からの距離」を確認する

意外に思われるかもしれませんが、まずは「本人の家からの距離」をチェックしてください。

  • 対応のスピード感

近距離なら、急なトラブルや対面相談が必要な際、すぐ駆けつけてもらえる安心感があります。

  • 地域の情報量

近所の評判の良い病院やデイサービスなど、地元ならではの情報に精通しています。

ポイント2:ケアマネジャーの「前職」を確認する

ケアマネジャーは元々持っていた資格によって「得意分野」が異なります。

  • 元・看護師: 医療ニーズが高い(点滴、酸素、病状が不安定など)ケースに強い。
  • 元・介護福祉士: 現場のプロ。介助の工夫や現場スタッフとの連携に強い。
  • 元・社会福祉士: 制度やお金、家族間の意見の食い違いなど、複雑な調整に強い。

電話口で「家から近いのでお願いしたいと考えています。実は〇〇で困っているのですが、そうした経験の豊富な方はいますか?」と率直に確認しましょう。

STEP 3:電話一本で見極め、面談で「わが家の状況」を共有する

候補を絞ったら、次は電話です。その際、相手の「反応」を冷静にチェックしてください。

頼れるケアマネジャー: 「それは大変でしたね」と、あなたの感情の揺れをまず受け止める余裕がある。

避けるべきケアマネジャー: 「今、担当がいっぱいで」「うちは医療系はやってないんで」と、事務的な理由や制度論を盾に、あなたの話を遮る。

元ケアマネジャーからのアドバイス

ケアマネジャーは、あなたと一緒に生活を支えるチームの「中心人物」です。事務的な手続きだけでなく、家族の生活維持にも目を向けてくれる相手かどうかを見極めることが、無理のない介護生活を送る第一歩になります。

ダウンロード可:面談の質を劇的に高める「わが家の困りごと整理シート」

無事に担当が決まり、初めて会うことになっても、混乱状態では「何から話せばいいか」迷うものです。そこで、「これだけは伝えておかないと、後で家族がパンクする」という項目を絞り込んだ整理シートを用意しました。

すべてを埋める必要はありません。気になる項目をスマホにメモしておくだけでも、面談の質は劇的に変わります。

無事に担当が決まり、初めて会うことになっても、混乱状態では「何から話せばいいか」迷うものです。そこで、元ケアマネジャーの視点から「これだけは伝えておかないと、後で家族がパンクする」という項目を絞り込んだ整理シートを用意しました。

すべてを埋める必要はありません。また、必ずしもケアマネジャーに手渡す必要もありません。

  • 手渡すのが不安な方

手元のメモとして見ながら話すだけで、「伝え漏れ」を確実に防げます。

  • 説明が苦手な方

「うまく話せる自信がないので、これを見ていただけますか?」と手渡せば、プロが状況を汲み取ってくれます。字の綺麗さや文章の形を気にする必要はありません。箇条書きやキーワードだけでも、プロにとっては貴重な情報源です。

項目具体的に書くことのヒント
1. 緊急度・切実さ今、一番何に追い詰められていますか?(例:夜眠れない、本人が怒鳴る、仕事に行けない)※一番つらいことを伝えると、ケアマネジャーが真っ先に動くべきポイントが明確になります。
2. あなた自身への影響あなた自身の状態はどうですか?(例:自分の通院ができない、持病がある、介護で疲れ切っている、介護から離れる時間がない、など)※「あなたが倒れないこと」は、本人を支え続けるための絶対条件です。ありのままを書いてください。
3. 仕事への影響仕事との両立で困っていることはありますか?(例:急な休みが増えている、残業・出張ができない、仕事中に電話が頻繁にかかってくる、など)※勤務時間や通勤時間も含め仕事への影響を伝えると、それを回避するためのサービス調整が可能になります。
4. 介護への思いサービス利用や分担について、どう考えていますか?(例:他人に任せることに抵抗がある、兄弟姉妹が協力してくれない、これ以上は自分では抱えきれない、など)※親族間の事情や「任せることへの罪悪感」も、大切な判断材料になります。
5. 本人の性格・こだわりプロが関わる上で「要注意」なポイントは?(例:介護されるのを嫌う、入浴は夕方と決めている、他人を家に入れたくない、など)※サービスの拒否を防ぎ、本人に納得してもらうための「攻略法」を共有してください。
6. 本人の変化と不安最近「以前と違う」と感じることは?(例:怒りっぽくなった、火の不始末がある、同じことを何度も聞く、など)※病名以上に、日々の生活で「危ない」と感じる具体的な場面が助けになります。
7. 本人との関係性本音の距離感(例:昔から折り合いが悪い、遠方で頻繁に行けない)※本人の前では言いづらい「本音の距離感」を共有してください。ケアマネジャーが、家族に負担をかけすぎないプランを立てるための大切な基準になります。
8. 経済的な懸念予算や今後の予定は?(例:月〇万円以内に抑えたい、いずれは施設も検討したい、近々引っ越しの予定がある、など)※無理なプランで家計が破綻しないよう、予算のデッドラインを共有しておきましょう。
9. ケアマネへの期待担当者に、特にどんな役割を期待しますか?(例:本人を説得してほしい、とにかく話を聞いてほしい、テキパキ進めてほしい、など)※相性を見極めるための希望です。

シートのダウンロードはこちら

「わが家の困りごと整理シート」をダウンロードする(PDF)

まとめ|ケアマネジャーは「自分自身の生活」を守るための協力者です

ケアマネジャーを「行政の判定員」のように思って身構える必要はありません。彼らは、あなたと一緒に介護体制を組み、日々の生活を回していくための実務的なパートナーです。

もし実際に相談してみて「この人とは方針が合わない」と感じたなら、途中で担当者や事業所を変更することも制度上認められています。

介護は、家族の自己犠牲だけで成り立つものではありません。専門職を関わらせ、公的なサービスを適切に組み込んでいくこと。それが、あなた自身の日常を守るために今すぐ取るべき防衛策です。まずは一人で抱え込まず、窓口へ相談することから始めてください。

ケアマネージャーに頑張ってもらいましょう!

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