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介護がつらいのは、あなたのせいではない|「親孝行の呪縛」から自由になる方法

2024年4月3日

介護は親孝行?絶対に子供がしなければいけないの?
親孝行のつもりで介護しているけれど、とてもつらい。
介護が大変で親に優しくできない、どうすればいいの?

「介護は親孝行」と思っている、あるいは親戚や職場からそのような話が出た場合、その重圧で押しつぶされそうな気持ちになった経験はないでしょうか。14年間ケアマネジャーとして多くの家族介護を支えてきた筆者も、そのような重圧に苦しむご家族を何度も見てきました。

家族介護において最も重要なのは、適切な距離感を保ち、過度な負担を一人で抱え込まないことです。

介護が愛情の表れである一方で、それが義務感や周囲の期待によって「やらなくてはならないもの」になったとき、人は精神的にも肉体的にも大きな負担を感じることがあります。

今回は「介護と親孝行」というテーマについて深く掘り下げて考えていきます。親のために尽くすことは尊いものですが、その過程で自分自身を犠牲にする必要はありません。家族介護のあり方について、一緒に考えてみましょう。

「介護で親孝行」が成り立たなくなった4つの理由

「介護は親への恩返し」。この言葉は美しく聞こえます。しかし、この考え方が生まれた時代と今では、社会の構造が根本から変わっています。

① 1人で2人を介護する時代になった

1970年代、65歳以上の高齢者1人を支える現役世代は約10人いました。大家族が当たり前で、介護の担い手が複数いたからこそ「家族でやるのが当然」という文化が成立していたのです。

しかし現在、高齢者1人を支える現役世代はわずか約2人にまで減少しています(※出典:令和6年度版厚生労働省「高齢社会白書」)。

少子化が進み一人っ子世代が増えた現在、夫婦2人で双方の親4人の介護を担わなければならないケースも、決して珍しくありません。 50年前の「当たり前」をそのまま今に当てはめることは、構造的に不可能なのです。

② 仕事と介護の両立は「個人の努力」では限界がある

性別を問わず働く時代になった今、仕事をしながら介護を担う「ビジネスケアラー」は2030年に318万人まで増加すると予測されています(※出典:経済産業省「新しい健康社会の実現」2023年)。

介護が原因で退職を余儀なくされる「介護離職者」は、現在も年間約10万人で推移しており、その経済的損失は9兆円超とも言われています。

仕事を辞めて介護に専念すれば、今度は経済的不安・社会的孤立・将来への不安という別の苦しみが待っています。「親のために仕事を辞めた」はずが、その選択が親を苦しめる結果になることさえあるのです。

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③ 家族だからこそ、感情のコントロールが難しい

親が認知症になったとき、次のような場面を想像してみてください。

  • 同じ質問を1日に何十回も繰り返される
  • 仕事で疲れ切っているのに、夜中に「財布がない」と起こされる
  • なぜそうなったのか分からないまま、衣類を汚されてしまう

こうした状況が毎日続くと、どれだけ優しく接しようとしていても「なぜわからないの!」と、きつい言葉が口をついて出てしまうことがあります。

それは、あなたが冷たい人間だからではありません。家族という近しい関係だからこそ、感情を抑えきれなくなるのです。これは心理的にごく自然な反応です。

ただ、限界を超えた状態での介護は、あなた自身にとっても親にとっても良い結果につながりません。感情がコントロールできなくなったときこそ、一人で抱え込まず、プロの力を借けるサインです。

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④ 実は「親も介護されたくない」と思っている

「介護は親孝行」という思い込みを手放せない理由のひとつに、「親は子どもに介護してほしいはずだ」という前提があります。しかし実際はどうでしょうか。

「介護が必要になったとき、子どもに頼みたい」と考える高齢者の割合は、男性で12%、女性で31%に過ぎません(※出典:内閣府「平成30年版高齢社会白書」)。

多くの親の本音は、「子どもに迷惑をかけたくない」ということです。子どもが無理をして介護する姿は、必ずしも親のためになるとは限りません。

今の時代に合った「親孝行」の形とは

「介護は家族がやるべきだ」という考え方は、多くの人が協力し合える大家族が当たり前だった時代に生まれたものです。約50年前の価値観を、そのまま今の時代に当てはめることには無理があります。

こうした考え方も、時代に合わせて見直すことができます。

古い考え方今の時代の考え方
介護は家族がやるべきだプロに任せる選択肢を積極的に活用する
介護が必要になったら同居する遠距離介護など、柔軟な関わり方を考える
施設に入れるのは見捨てること施設はプロが支える、安心できる生活環境
介護は育ててもらった恩返し恩返しの形は介護だけではない
介護は親孝行だ親孝行の形は人それぞれでいい

介護保険サービスやホームヘルパー、デイサービスといったプロの力を借りることで、親の生活の質が上がり、できることが増えるケースも多くあります。家族では気づけなかった変化に、プロが早期に対応できることもあります。

一緒に食事をする。たまに散歩に出かける。電話で近況を話す。介護をプロに任せることで生まれた時間と心の余裕が、こうした何気ない「普通の親子の時間」につながります。親が本当に望んでいるのは、そういった時間なのかもしれません。

今日からできる具体的な一歩

「でも、何から始めればいいかわからない」という方へ、まず取るべき行動をお伝えします。

  • 地域包括支援センターに相談する

お住まいの市区町村にある「地域包括支援センター」は、介護に関することを無料で相談できる公的な窓口です。本人の同意がなくても相談できます。「介護のことで話を聞いてほしい」と電話一本かけるだけで大丈夫です。

  • 自分の限界を言葉にしてみる

「週に何時間なら無理なく関われるか」「どこまでなら対応できるか」を紙に書き出してみてください。限界を言語化することで、どのくらいサービスを利用すべきかが見えてきます。

  • 仕事をしている場合は「介護休業制度」を確認する

すぐに仕事を辞めることは避けてください。介護休業制度を使えば、対象家族1人につき通算93日、3回に分けて休業を取得できます。まずは職場の人事担当者に相談してみましょう。

最後に

「介護は親孝行だから、自分がやらなければ」と思い詰めず、介護のプロを頼ってください。自分自身に余裕をつくることが、介護を続ける上で最も大切なこととなります。

介護と向き合いながらも、あなた自身の人生を守る努力もしていきましょう。仕事も、趣味も、大切な人との時間も。そうして自分らしく生きているあなたの姿こそが、今の時代の「親孝行」となります。

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