介護をもっと楽にする 介護保険制度

高額な介護サービス費用、どうする?|負担を軽くする制度をご紹介

2025年1月1日

「毎月の介護サービス費、意外と高い」——そう感じたことはありませんか。実は、自己負担額が一定の上限を超えると、その超過分が払い戻される「高額介護サービス費」という制度があります。

今回は、対象者や自己負担の上限額、具体的な申請方法についてご紹介します。

tefutefu

ケアマネジャーとして、多くのご家族から介護費用に関するご相談を受けてきました。その経験から、使える制度をわかりやすく整理してお伝えします。

この記事でわかること

  1. 高額介護サービス費とは(対象者・自己負担の上限額)
  2. 具体的な計算例(1人の場合/世帯合算の場合)
  3. 申請方法と必要なもの
  4. 知っておきたい注意点(対象外の費用・支給方法・申請期間)

高額介護サービス費とは

高額介護サービス費は、介護サービスを利用する際の費用負担を軽くするための制度です。毎月の介護サービス費が一定の限度額を超えると、その超過分を国や市区町村が負担してくれます。

例えば、1ヶ月にかかる介護サービス費が高くなると、自己負担額も増えてしまいます。この制度を使うと、自己負担額が限度額を超えた場合に、その超過分が払い戻されるので、経済的な負担がぐっと軽減されます。

こんな方におすすめの制度

  • ✓ 介護サービスを多く利用している方
  • ✓ 毎月の介護費用が家計に大きな負担をかけている方
  • ✓ 介護費用を少しでも節約したいと考えている方

自己負担の上限額(月額)

高額介護サービス費の負担上限額は、所得や世帯の状況によって異なります。2021年8月の制度改正により、負担限度額が次のように定められました。

【第1段階】
①生活保護を受給している方等
②15,000円への減額により生活保護の被保護者とならない場合
③市区町村民税世帯非課税の老齢福祉年金受給者
①15,000円(個人)
②15,000円(世帯)
③24,600円(世帯)
 15,000円(個人)
【第2段階】
【第2段階】市区町村民税世帯非課税で公的年金等収入金額+その他の合計所得金額の合計が82.65万円以下(2026年8月1日改定)
24,600円(世帯)
15,000円(個人)
【第3段階】
市区町村民税世帯非課税で第1段階及び第2段階に該当しない方
24,600円(世帯)
【第4段階】
①市区町村民税課税世帯~課税所得380万円(年収約770万円)未満
②課税所得380万円(年収約770万円)~690万円(年収約1,160万円)未満
③課税所得690万円(年収約1,160万円)以上
①44,400円(世帯)
②93,000円(世帯)
③140,100円(世帯)

MEMO

2026年8月から基準額が改定されました

老齢基礎年金の満額支給額の上昇に伴い、第2段階の判定基準額が「80.9万円」から「82.65万円」へ引き上げられました。2026年8月以降のサービス利用分から適用され、7月以前の利用分には従来の基準が適用されます。

参考:厚生労働省「介護保険最新情報Vol.1516」(令和8年8月からの負担限度額見直し)

高額介護サービス費の計算例

どれくらいの金額が戻ってくるのか気になるところです。具体的に計算してみましょう。

世帯に介護サービス利用者が1人の場合

自己負担額(介護サービス費)-負担限度額(高額介護サービス費)で計算します。

  • 自己負担額:30,000円
  • 負担限度額:24,600円

30,000円-24,000円=5,400円
高額介護サービス費として払い戻される額は5,400円です。

世帯に介護サービス利用者が2名以上の場合(世帯合算)

世帯の合計負担額(介護サービス費)-世帯限度額(高額介護サービス費)で計算します。

  • 妻の自己負担額:30,000円
  • 夫の自己負担額:60,000円
  • 世帯負担限度額:44,400円

(30,000円+60,000円)-44,400円=45,600円
高額介護サービス費として払い戻される額は45,600円です。

MEMO

世帯合算の払い戻しは口座ごとに按分される

払い戻される額はそれぞれの口座に振り込まれます。計算式は「世帯の払戻額×個人の負担額÷世帯の合計負担額」です。上記の例では、妻の口座には45,600円×30,000円÷90,000円=15,200円、夫の口座には45,600円×60,000円÷90,000円=30,400円が、それぞれ払い戻されます。

申請方法

高額介護サービス費を利用するためには、まず住んでいる市区町村に申請を行う必要があります。介護サービスの自己負担額が上限を超えると、市区町村から支給申請書が自動的に送られてきます。一度申請をすれば、その後は手続き不要で口座に自動的に払い戻しが行われます。

この制度は手続きが簡単で利用しやすいですが、制度自体を知らないと「介護サービス費用を無理に抑える」などの悪影響が出ることがあります。そのため、この制度についてしっかりと理解し、正しく利用することが重要です。

手続きの手順

  • 市区町村から対象者に高額介護サービス費のお知らせと支給申請書が送られてきます。
  • 申請書に必要事項を記入し、その他の書類と一緒に市区町村に返送します。
  • 審査が通ると「支給決定通知書」が届き、超過分の介護サービス費が払い戻されます。

申請時に必要なもの

  • 高額介護(介護予防)サービス費支給申請書
  • 介護保険証被保険者証
  • マイナンバーカード
  • 振込先がわかるもの(本人名義)

市区町村によっては、印鑑が必要だったり、身分証の提示を求められたりするなど、申請手続きが異なる場合があります。事前に市区町村のホームページや申請書の内容をよく確認しましょう。 ※電子申請が可能な市区町村も増えています。

高額介護サービス費の注意点

高額介護サービス費を利用する際には、いくつかの注意点があります。この制度を効果的に活用するために、事前に知っておくべき重要なポイントを確認しておきましょう。

対象とならない介護サービスがある

介護保険サービスであっても、高額介護サービス費の払い戻し対象にならないものがありますので、ご注意ください。

  • ポータブルトイレや入浴補助用品などの福祉用具購入費
  • 手すり設置や段差解消などの住宅改修費
  • 施設入所における食費や居住費(滞在費)、日常生活費、差額ベッド代
  • 介護保険の利用限度額を超えた全額自己負担の費用

これらの項目が高額介護サービス費の対象になると誤認しないよう、計画的にお金を管理しましょう。

支給方法は2通り

支給には「本人償還払い」と「受領委任払い」があります。

  • 本人償還払い:通常の支給方法で、自己負担額を全額支払った後に払い戻される形式です。
  • 受領委任払い:介護保険施設の協力があれば利用できます。受領委任払いでは、高額介護サービス費が施設に直接支払われるため、利用者は自己負担上限額のみを支払えば済みます。

申請期間はいつまで?

介護サービスが提供された月の翌月初日から2年間が申請期間です。この期間を過ぎると、申請することができなくなります。市区町村から申請書が届いたら、忘れずに手続きを行いましょう。

支給はいつ?

介護保険サービスを利用した翌々月に申請書が送付されます。その後、申請から支給まで1〜2か月かかるため、最短で3〜4か月はかかると考えましょう。

書類や領収書は保管する

「支給決定通知書」や「介護サービスの領収書」は、確定申告の医療費控除に必要ですので、大切に保管しましょう。介護サービスの中には医療費控除の対象となるものがあり、高額介護サービス費として受け取った金額は、医療費控除の計算から差し引く必要があります。

確定申告の際に混乱しないように、書類や領収書は丁寧に保管しておくことが大切です。

最後に

高額介護サービス費は、介護サービスの利用に伴う経済的負担を軽減するための重要な制度です。制度の仕組みや申請方法を理解し、適切に活用することで、安心して介護サービスを利用することができます。この基本知識を押さえて、より良い生活を送るために役立ててください。

【この記事の参考文献・公的根拠】 本記事は、厚生労働省の「サービス利用者の負担軽減について」に基づき、現場での実務経験を交えて作成しています。正確な制度詳細や最新の所得区分については、厚生労働省公式サイトも併せてご確認ください。

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この記事を書いた人

tefutefu

元ケアマネジャー(支援300件以上、相談1000件以上)。企業向け「仕事と介護の両立」セミナー、一般の介護者向けセミナーの講師としても活動。これまでの経験をもとに、在宅介護者向けの認知症ケア情報や、介護をひとりで抱え込まないための情報を発信中。

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