
デイサービスの送迎について、些細な「あれ?」がきっかけで、なんとなく不安が拭えなくなっていませんか。
一度感じた違和感は、繰り返されるうちに「これって普通のこと?」「自分の感覚がおかしいのかな」という迷いに変わっていきます。特に、送迎中の車内で何が起きているかを家族が直接見ることはできないため、一度芽生えた不安は膨らみやすいものです。
この記事では、元ケアマネジャーでありデイサービスの管理者経験も持つ筆者が、そうした不安の正体と、家族として確認していいこと、そして必要であれば施設へどう伝えればいいかを解説します。
元ケアマネジャー歴14年(支援300件以上、相談1000件以上)、デイサービスの管理者も務めた経験から、送迎への「あれ?」という違和感は、多くの場合こちらが思う以上に確かなサインだと実感してきました。
この記事でわかること
- 送迎で家族が「怖い」と感じる、よくある3つのきっかけ
- 小さな違和感が不安に膨らんでいく、送迎現場ならではの背景
- 苦情ではなく「確認」として施設に聞いていいこと
- 「相談」から「苦情」へ、状況に応じた伝え方の違い
家族が「あれ?」と感じるのは、どんな瞬間か

送迎そのものに同乗するわけではない家族が不安を感じるのは、多くの場合、見送り・出迎えの短い時間や、本人からの話がきっかけです。まずは、次のような経験に心当たりがないか確認してみてください。
- 挨拶がなかったり、本人を急かすような介助が気になったことがある
- 急発進・急ブレーキがあった、本人が「揺れて怖かった」と話していた
- 到着がいつも遅い・早い、あるいは遅れる連絡がない
1つでも当てはまるものがあれば、それぞれの背景を詳しく見ていきましょう。
対応・接遇に感じる「あれ?」
玄関先での挨拶がない、本人を急かすような介助の仕方をする、といった対応面の違和感です。一度きりなら気にならなくても、同じことが続くと「いつもこうなのかもしれない」という不安に変わっていきます。
運転そのものに感じる「あれ?」
急発進や急ブレーキがあった、本人が「揺れて怖かった」と話していた、といった運転の荒さに関する違和感です。家族自身が同乗していなくても、本人の言葉や車の動き出しの様子から伝わってくることがあります。
時間のズレに感じる「あれ?」
いつも到着が遅い、あるいは逆に予定より早く来る、遅れる際の連絡がない、といった時間に関する違和感です。一回であれば偶然かもしれませんが、繰り返されると「体制そのものに無理があるのでは」という不安につながります。
なぜ「あれ?」は不安に膨らんでいくのか

挨拶がない、運転が荒い、時間にルーズ
——こうした一つひとつの『あれ?』の奥には、大切な親が、ぞんざいに扱われているのではないかという不安があります。しかも家族はその場に居合わせられないからこそ、確かめようがなく、不安は膨らみ続けます。
ただ、その裏側にあるのは、多くの場合、施設側の悪意ではなく、単純な余裕のなさです。
デイサービスの送迎は、多くの場合、分単位で組まれたスケジュールの中で、運転と利用者の介助を一人のドライバーが兼務しています。焦りが生じやすく、それが急発進や急ブレーキ、挨拶を省略してしまう対応の余裕のなさにつながることがあります。
MEMO
要介護度が高いほど、不安は膨らみやすい
本人の要介護度が高いほど、家族の不安は大きくなりやすい傾向があります。デイサービスの送迎車による事故は実際にゼロではなく、ニュースで報告されることもあります。だからこそ、添乗職員を同乗させ確認の目を増やしている施設もあります。
不安を感じたら、まず家族としてできること

いきなり施設に苦情として伝える必要はありません。まずは負担の少ない範囲で、状況を確認することから始められます。
施設に聞いてもいいこと
以下のような内容は、苦情ではなく「確認」として、気兼ねなく施設に尋ねてよいものです。
施設に聞いてもいいこと
☐ 送迎担当者はどのくらいの頻度で安全運転の研修を受けているか
"送迎してくださる方って、安全運転の研修とか受けられているんですか?"
☐ 急ブレーキなどのヒヤリハットがあった場合、施設内で共有される仕組みがあるか
"もし運転中に何かヒヤッとすることがあったら、スタッフの方同士で共有されたりするんですか?"
☐ 本人の状態によっては、添乗職員がつくことがあるか
"うちの親のような状態だと、運転してくださる方の他に、付き添いの方がつくこともあるんですか?"
本人へのさりげない確認
本人に聞く場合も、問い詰めるような聞き方ではなく、日常会話の延長で確認すると本音が出やすくなります。「今日は揺れなかった?」「運転してくれた人、感じよかった?」など、答えやすい聞き方を心がけてみてください。
「相談」と「苦情」はどう違うのか

「これはおかしい」とはっきり感じる出来事がまだない段階であれば、苦情というより「相談」のトーンで伝える方が、施設側も受け止めやすくなります。
一方、繰り返し同じことが起きている、あるいは安全に関わる出来事があった場合は、相談の範囲を超えて、はっきりと苦情として伝える必要があります。
このように「事実」と「今の気持ち」を淡々と伝えるだけで、施設側が状況を確認し、必要な対応を取ってくれることも少なくありません。
相談(不安・違和感の段階)
まだ一度きりの出来事で、確信までは至っていない状態。「いつもお世話になっています。送迎のことで少し気になっていることがあるのですが、最近○○ということがあって、少し不安に感じています。よくあることなのか、教えていただけますか」など、事実と今の気持ちを淡々と伝えるだけで十分です。
苦情(改善を求める段階)
同じことが繰り返されている、または安全に関わる出来事があった段階。改善してほしい点を具体的に示し、施設側に対応を求める伝え方が必要になります。
相談しても不安が続く場合は
施設に相談しても状況が変わらない、あるいは自分だけでは伝えにくいと感じる場合は、担当のケアマネジャーに相談してください。ケアマネジャーはサービス計画の管理責任者として、施設側と対等な立場で状況を確認する役割を担っています。
家族側の要因も一度冷静に考えてみる
一方で、なかなか状況が変わらない背景には、こちらの要望が少し行き過ぎていた、あるいは伝え方が実情と少しずれていた、というケースもあります。伝える前に、次の点を一度冷静に考えてみるのも役立ちます。
- 今求めている対応は、常識的に見て無理のない範囲か
- 本人の状態や困りごとを、施設に正確に伝えられているか」
よくある質問
大げさではありません。送迎中の様子を直接見られない以上、違和感を覚えるのは自然な反応です。まずは施設に確認するところから始めてみてください。
直接聞くことに気が引ける場合は、担当のケアマネジャーに相談する方法もあります。「送迎のことで少し気になっていることがあって」と、感じていることをそのまま伝えるだけで構いません。ケアマネジャーが中立な立場で、施設に確認を取ってくれます。
まだ一度きりの違和感であれば「相談」から始めるのがおすすめです。同じことが繰り返される、または安全に関わる場合は、はっきりと苦情として伝えることを検討してください。
まとめ:送迎への不安は、まず確認から
「あれ?」という小さな違和感は、気のせいではなく、家族としての大切なセンサーです。まずは施設に確認し、本人にも様子を聞いてみてください。改善が見られなければ、ケアマネジャーに仲介を頼むこともできます。
介護にかかわることは一人で悩まず、施設やケアマネジャーに確認・相談し、自分自身を安心できるポジションに置いておくことが大切です。



