
担当していたご家族の中に、「大好きだった料理が、介護が始まってから苦痛でしかなくなった」と打ち明けてくれた方がいました。毎日仕事から帰って、そこから親の介護食を用意する。それだけで、その日最後に残っていた体力まで使い果たしてしまう——そう話してくれたのを、今でもよく覚えています。
買い物から始まる調理を苦手に感じたり、ストレスに感じたりする方は決して少なくなく、家事の中でも特に負担の大きいものの一つです。
身体的な介護と違って、食事の準備には「時短できる余地」が実はたくさんあります。この記事では、介護や仕事、家事を両立しながら、無理なく食事の準備を楽にするための具体的な工夫として、高齢者向け冷凍弁当の選び方や、調理の時短術をご紹介します。
元ケアマネジャー歴14年(支援300件以上、相談1000件以上)。介護する家族の食事づくりの負担は、見過ごされがちです。使える時短の方法と、冷凍弁当の選び方をまとめました。
この記事でわかること
- 高齢者向け冷凍弁当の選び方と使い方
- カット野菜や調理道具など、食事準備の時短術
- 「時にはハンバーガーも良い」と言える理由
- 食事以外で栄養やエネルギーを補給する方法
介護と家事の両立は想像以上に大変
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親の介護が必要になると、掃除や洗濯、調理といった家事のサポートも同時に求められることがよくあります。身体的な介護よりも、家事の方が大変だと感じる人も少なくありません。
身体的な介護の時短は難しい
身体的な介護と家事を分けて考えた時、前者の時短はなかなか難しいのが現状です。例えば、入浴や歩行の介助では、時間を節約する隙はほとんどありません。病院への付き添いや薬の管理も、簡単に済ませる方法は見つかりにくいでしょう。
身体的な介護においては、時間を節約するというよりも、介助の技術や道具を工夫して介護者の負担を減らしたり、親自身の安全性を高めたりすることが中心となります。
食事の準備は時短しやすい
身体的な介護とは異なり、家事には時短できるノウハウが豊富にあります。例えば、洗濯であればスピードコースを使ったり、掃除であればお掃除ロボットを活用したりすることで、時間そのものを短縮できます。
食事の準備も、いくつかの時短方法があります。献立を考える際も、余った野菜でレシピを検索すれば多様な選択肢が見つかりますし、お米などかさばるものは通販を利用するといった方法も有効です。
食事の準備を楽にする4つの方法

家族の介護を続ける上で、介護者自身の時間を確保することはとても大切です。無理なく家事の時間を短縮できる方法があれば、ぜひ活用しましょう。
ここからは、4つの時短テクニックと、高齢者の介護に役立つポイントをお伝えします
時短1:最強の時短術「冷凍弁当」
時短調理の王道は、冷凍弁当です。最近は高齢者向けの商品も増え、ビタミン・ミネラル・食物繊維といった栄養バランスや、減塩に配慮したものが多くあります。塩分は、自分で調整するのが難しいもの。あらかじめ整えられた食事があると、助かります。
疲れた日や、準備の時間が取れない日に備えて、冷凍庫にストックしておくと便利です。味や見た目も改良されているので、普段の食事に取り入れてみましょう。
冷凍弁当を選ぶときのポイント
塩分とエネルギーの表示
1食あたりの食塩相当量とエネルギーが、表示されているかを確認します。
やわらかさ
普通食のほか、やわらかい食事を選べる商品もあります。歯の治療などで一時的に硬いものが食べられないときにも役立ちます。
持病への配慮
糖尿病や腎臓病などに配慮した商品もあります。病気のある方は、選ぶ前に主治医や管理栄養士に確認しましょう。
保管と調理のしやすさ
冷凍庫に入る量か、電子レンジで温めるだけで済むかを確認します。
お試し
お試しできる場合は、いきなり大量に買わず、味や量が本人に合うか確かめます。
時短2:カット野菜や冷凍野菜、乾燥野菜の活用
レタスやキャベツ、ミックス野菜など、事前にカットされた野菜はスーパーのどこでも見かけるようになりました。サラダを作るなら、ツナ缶やカニ風かまぼこと合わせれば、手軽に一品用意できます。
冷凍食品も、ジャガイモやブロッコリー、ほうれん草など、種類が豊富です。魚や肉の冷凍食品もあり、調理の時短に大いに役立ってくれるでしょう。
乾燥野菜も便利です。水分が抜けて軽く、日持ちもするため、ストックしておけば、みそ汁やスープの具としてすぐ使えます。大根の葉や小松菜、ほうれん草、緑黄色野菜をミックスした商品もあり、カレーなどとも相性が良いです。
時短3:便利な調理道具を取り入れる
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ハサミやピーラー、スライサーといった調理道具を取り入れることによって、調理は大幅に時短できます。まな板と包丁を使わないだけでも、調理のストレスはかなり軽減されるでしょう。
電気圧力鍋や圧力調理バッグ(材料と調味料を入れ、電子レンジで温めるだけでおかずが作れます)を活用すれば、「ほったらかし調理」が実現できます。
ボウルの代わりにビニール袋や食品トレーを使う方法もありますし、一皿に盛り付けるワンプレートにすれば、洗い物も減らせます。
時短4:お惣菜やレトルト食品を利用する際の注意点
調理の時短として、スーパーなどでお惣菜やレトルト食品を購入することもあるでしょう。一般的にこれらの商品は味が濃く、食塩や脂肪を多く含む場合があります。
揚げ物ばかりに偏らないよう、また野菜が少なくならないようにバランスを考え、塩分表示があれば確認しながら利用していくようにしましょう。
高齢者の食事はカロリーに配慮

高齢者に必要なのは、「体重を減らさないこと」です。年を取ると「食が細くなる」とよく言われるように、小食になることで必要なカロリー(エネルギー)が摂れなくなり、低栄養に陥る人は少なくありません。
栄養補助飲料も積極的に取り入れる
食事の量が減り、体重が落ちてくると、フレイルのリスクが高まります。
MEMO
フレイル
高齢者によく見られる、筋力や体力が低下し、体が虚弱になる状態のこと。これにより、日常生活の動作が困難になったり、転倒や骨折のリスクが増えたりします。
どうしても食事の量が増えない場合は、栄養補助飲料を普段の食事に加えてみてください。150mlで200kcal摂ることができる飲料も多く、味のバリエーションも豊富なので飽きずに続けやすいでしょう。
コンビニエンスストアなどでも販売されているゼリー飲料も、カロリーをしっかり摂れるものがあります。喉越しがよく、水分も同時に摂ることができるため、食欲のない夏場などにも活用できます。
時にはハンバーガーも良い選択肢
カロリーやたんぱく質が足りなくなると、全身の筋肉量が減少していきます。脚の筋力が弱まると転倒しやすくなり、喉の筋肉が落ちることで飲み込む力も弱まります。その結果、骨折や誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん:食べ物や唾液が気管や肺に入り、炎症を起こすこと)のリスクが高まってしまうこともあります。
宅配ピザや牛丼、ハンバーガーなどは、頻繁でなければ普段の生活に取り入れることをおすすめします。たまにはパーティー感覚でデリバリーを活用するのも、気分転換になって楽しいかもしれません。
ただし、飲み込む力が弱い方や、糖尿病・腎臓病・高血圧などで食事の制限がある方は、かかりつけ医や管理栄養士に相談してください。パサつくパンや肉は、飲み込みにくいこともあります。
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よくある質問
塩分とエネルギーの表示、やわらかさの選択肢、持病への配慮を確認します。病気のある方は、選ぶ前に主治医や管理栄養士に相談しましょう。お試しできる場合は、味や量が合うか、試してみてください。
忙しい日や疲れた日に活用するのは、介護を続けるための有効な方法です。栄養に配慮された商品を選び、体重の減少や飲み込みにくさがあるときは、医師や管理栄養士に相談してください。
冷凍弁当のほか、カット野菜や冷凍野菜、ハサミやピーラーなどの調理道具、電気圧力鍋の活用が基本です。お惣菜やレトルトは、塩分の表示を確認しながら、野菜が不足しないように選びましょう。
頻繁でなければ、エネルギーやたんぱく質を補う手段になります。ただし、飲み込む力が弱い方や、糖尿病・腎臓病・高血圧などで食事制限のある方は、かかりつけ医や管理栄養士に相談してください。
栄養補助飲料やゼリー飲料を、食事に加える方法があります。150mlで200kcalを摂れる飲料もあります。体重が減り続けるときは、低栄養の可能性があるため、医師や管理栄養士に相談してください。
まとめ
介護は身体的なことになると時間を節約することが難しいですが、介護保険サービスを活用すれば専門家に任せることもできます。
家事も電化製品やちょっとした工夫次第で手間を省くことができます。特に調理は、食材選びや冷凍食品を上手に取り入れることで時短を実現できます。
活用できるものは積極的に利用し、介護者自身の負担を可能な限り軽減していきましょう。



