
「なんとなく合わない」「この人で大丈夫かな」——ケアマネジャーとの関係で、そんな違和感を覚えたことはありませんか?その直感、まずは一度立ち止まって確認してみましょう。
この記事では、交代を検討していい基準から、断られたときの対処法、担当者や事業所への角を立てない伝え方まで、実際のケースをもとに解説します。
元ケアマネジャー歴14年(支援300件以上、相談1000件以上)の実務経験から、「変えたい」と感じたときに知っておきたい交代の基準と、角を立てない伝え方をお伝えします。
この記事でわかること
- ケアマネジャーの交代を検討していい基準
- 「変えたい」という直感が正しい理由
- 角を立てずに伝える言い方
- 断られたときの対処法と交代までの手順
まず知っておきたい「ケアマネを変えたい」と思ったときの交代基準

✅ こんな場合は変更を検討していい
- 連絡しても返答が遅い、または返ってこない
- 提案がいつも同じで、改善される様子がない
- こちらの話をあまり聞いてくれない・流される
- 担当になって半年以上経つが、信頼関係が築けていない
- 利用者本人が「会いたくない」と言っている
⚠️ もう少し様子を見るケース
- 担当になってまだ3ヶ月以内
- 一度だけ対応に不満があった程度
- 忙しい時期が重なっているだけかもしれない
上のリストに当てはまる項目があれば、変更を検討する段階に来ているかもしれません。
「こんなことを言ったら失礼かな」「また断られるかも」と不安に感じる方も多いですが、ケアマネの変更は介護保険制度で認められた、当然の選択肢のひとつです。遠慮する必要はありません。
なぜ「ケアマネジャーを変えたい」という直感は正しいのか

ケアマネジャーとの関係で感じる「なんとなく合わない」「この人で大丈夫かな?」という違和感。実は、その直感の多くは、介護現場における「必要な支援の役割が果たせていない」ことを正確に捉えているのです。
なぜ、あなたの直感を信じていいのか。その裏付けとなる3つの理由を解説します。
1. 連絡が取りにくい
「折り返しが来ない」「返答まで数日かかる」という状態が続いている場合、緊急時の対応にも支障が出るリスクがあります。ケアマネジャーは情報共有の要となる存在のため、連絡のしやすさは支援の質に直結します。
2. 相談しにくいと感じる
ケアマネジャーは、ご家族と情報を共有し、共に介護の方向性を考える「伴走者」のような役割を担っています。そのため、あなたが「連絡したら迷惑かな」「これを言ったらどう思われるだろう」と必要以上に気を遣ってしまっている状態は、本来の協力関係としては望ましくありません。
3. 介護の方針が共有されていない
「自宅で過ごしてほしい」という意向に対して施設入所を繰り返し勧められるなど、介護の優先順位にズレを感じる場合は要注意です。価値観が合わないまま進むと、ケアプランが家族の意向とは異なる方向に進んでしまうことがあります。
4.「できません」で終わってしまう
希望するサービスが難しい場合でも、代替案を一切提示されない場合は、連携の質に問題がある可能性があります。ケアマネジャーの役割には、制度の範囲内で最善策を一緒に探ることも含まれます。
5. 介護チーム全体の連携がうまくいっていない
ヘルパーやデイサービスなど他のサービスとの調整が滞っていると感じる場合も、担当者の変更を検討するサインのひとつです。ケアマネジャーはチームの中心として連絡調整を担う役割があります。
【現場のリアル】元ケアマネが見てきた「交代が必要だったケース」
ここでは、筆者がケアマネジャーとして勤務していた当時に実際に見聞きした事例をもとに、交代が結果的に本人・家族にとってプラスに働いたケースを紹介します。個人が特定されないよう、内容は一部変更しています。
ケース1
転倒して歩行に支障が出たのでケアマネジャーに連絡したが不在で、折り返しも2日以上なかった、というご家族からの相談を耳にしたことがあります。その後も連絡が取れないことが繰り返されたので、担当の変更を事業所に依頼しました。連絡体制は改善され、在宅継続に必要なサービス調整もスムーズになりました。
ケース2
「できるだけ自宅で」という強い希望を持つご家族に対し、担当のケアマネジャーが繰り返し施設入所を勧める場面がありました。ケアマネジャーとしては安全面からの善意の提案でしたが、ご家族の希望とのすれ違いが続き、信頼関係が崩れてしまいました。在宅支援の経験が豊富な別の担当者に交代したことで、ご家族の意向に沿ったプランが組まれるようになりました。
こうした事例を踏まえると、「変えたい」という気持ちは決して感情的な判断ではなく、支援の質を守るための合理的な判断であることが多いといえます。
角を立てずに交代を伝える「そのまま使えるフレーズ集」

ケアマネジャーの交代を検討する際、一番気になるのは「相手にどう伝えるか」という点でしょう。ポイントは、相手を責めるのではなく、「これから先の介護をより良くするための相談」という形で伝えることです。
担当しているケアマネジャー本人に直接言う必要はありません。まずは事業所の責任者に相談するのが、円滑に進めるコツです。
1.「担当者への希望」を理由にしたいとき
「今の担当者が良くない」と否定するのではなく、今の本人の状態には「もっとこういう関わり方が合うのではないか」という提案の形を取ります。
" 「担当者への希望」を理由にしたいとき
いつも〇〇さんには丁寧に対応していただき、ありがとうございます。ただ、最近の父は少し気難しくなっているところがあり、同性のケアマネジャーとのほうが、本音で話しやすいのではないかと感じています。一度、担当の方の調整をお願いすることはできますでしょうか?
2.「専門的な知識」を理由にしたいとき
ケアマネジャーは、もともと看護師だったり、介護福祉士だったりと、一人ひとりが持っている背景や得意な分野が異なります。 今の困りごとに合わせて、「より専門的な知識がある人に相談したい」という形を取る方法です。
" 「専門的な知識」を理由にしたいとき
いつもお世話になっております。最近、本人の足腰が弱ってきた(または、認知症の症状が進んできた)ことが気になっています。今後の生活を考えると、リハビリの知識が豊富な方や、認知症ケアの経験が多い方にもアドバイスを伺ってみたいと感じています。そのような担当の方に交代していただくことは可能でしょうか?
3. やり取りに不安を感じているとき
連絡の遅さなどで信頼関係が崩れてしまい、今のままでは困るという状況のときに使います。
" やり取りに不安を感じているとき
これまで〇〇さんにはお世話になりましたが、連絡のやり取りなどで不安を感じることが増えてしまいました。このままでは十分な相談ができず、介護に支障が出てしまうのが心配です。そのため、担当の方を代えていただけないでしょうか?
交代を断られたときはどうする?
事業所に申し出ても「担当を変えることはできない」と言われるケースも、まれにあります。その場合の対処法を知っておきましょう。
- 事業所ごと変更する
事業所ごと変更する方法もあります。「同じ事業所内では対応が難しい場合は、他の事業所への変更も検討しています」と率直に伝えることで、状況が整理されやすくなります。
- 地域包括支援センターに相談する
お住まいの地域の相談窓口として、中立的な立場でアドバイスをもらえます。「担当者の変更を断られて困っている」という相談にも対応してくれます。
- 市区町村の介護保険課に相談する
自治体の窓口でも、事業所に関する情報提供や相談を受け付けています。「どう動けばいいかわからない」と感じたときの相談先として覚えておくと安心です。
ケアマネジャーを変更する4ステップ

実際に担当を代えてもらう際は、以下の手順で進めるとスムーズです。
Step1:事業所の責任者に連絡する
まずは、現在のケアマネジャーが所属している事業所の「管理者(責任者)」に電話をしましょう。前述の「言い回し」を参考に、変更したい理由を伝えます。交代のタイミングは、「新しい月のサービスが始まる前(中旬〜下旬頃)」に相談し始めると、事務手続きやサービスの引き継ぎが最もスムーズに進みます。
- 同じ事業所内で代える場合:別の担当者に引き継いでもらうよう依頼します。
- 事業所ごと変える場合:「他の事業所を探そうと考えている」と正直に伝えて問題ありません
Step2:新しい事業所を探す(事業所を変える場合)
今の事業所以外に依頼したい場合は、新しい「居宅介護支援事業所」を見つける必要があります。
- 地域包括支援センターに相談:お住まいの地域の相談窓口に行けば、近隣の事業所リストがもらえます。
- 役所の介護保険課で確認:自治体の窓口でも、事業所の情報を案内してくれます。
Step3:新しいケアマネジャーと会ってみる
新しい担当候補の方と実際に会って話をします(インテーク)。この際、今感じている不安や、今後の介護で重視したいことを率直に伝えましょう。この「顔合わせ」が、相性を見極める重要な機会になります。
Step4:引継ぎの手続き
新しいケアマネジャーが決まったら、あとの実務的な手続きはケアマネジャー同士で行ってくれます。あなたが自分ですべてを説明し直す必要はありませんので、安心してください。
失敗しないための「新しいケアマネジャー」の選び方

二度目のミスマッチを防ぐために、新しい担当者と会った際は以下のポイントを確認してみてください。
「こちらの要望」に対して、代替案を出してくれるか
希望するサービスが難しい場合でも、「できません」で終わらせず、「それなら、こういう方法は検討できます」と代わりの案を出してくれる人は信頼できます。
連絡の手段や頻度が自分と合うか
「電話だけでなく、メールやLINEでもやり取りが可能か」「不在の時の折り返しは当日中にくるか」など、連絡のスタイルが自分の生活に合うかを確認しましょう。
本人の目線に合わせて話をしてくれるか
家族(あなた)だけでなく、介護を受ける本人に対して、敬意を持って分かりやすく話しかけてくれるかは、良い関係を築くための大前提となります。
良好な関係を続けるために、家族側で気をつけたいこと

信頼関係は、ケアマネジャー側の努力だけでなく、お互いの配慮によって築かれるものです。新しい担当者と良い関係を長く続けるために、介護者として以下の点も意識してみましょう。
1.「時間外の連絡」は緊急時に絞る
ケアマネジャーにも勤務時間があります。夜間や休日の急ぎではない連絡が重なると、担当者が疲弊してしまい、スムーズな支援に支障が出ることもあります。 急を要さない相談は平日の日中に行う、あるいはメールや連絡帳を活用して「お手すきの時に確認してください」と一言添えるなど、お互いの生活リズムを尊重する姿勢が大切です。
2.「無理な要望」になっていないか見直す
介護保険にはルールがあり、ケアマネジャーができることには限界があります。「決まりだからできない」と言われた際は、単なる拒絶ではなく、「制度上の制限」があることを理解し、代替案を一緒に探る姿勢を持つことで、建設的な話し合いができます。
3.「小さな情報」も共有する
「最近、少し食欲が落ちている」「夜中に何度も起きるようになった」など、些細な変化を伝えてもらえると、ケアマネジャーはより精度の高いプランを作成しやすくなります。「一緒にチームを作っている」という意識で情報を共有することが、結果として手厚い支援に繋がります。
まとめ
ケアマネジャーを変更することは、決して後ろめたいことではありません。むしろ、介護という長期的な課題を乗り越えるために、「より良いチーム体制に整え直す」という前向きな決断です。
信頼できるパートナーが見つかることで、介護の負担感は大きく変わります。まずは一歩、相談することから始めてみてください。
よくある質問
はい、交代できます。現在の担当ケアマネジャーが所属する事業所の責任者に連絡し、担当変更を申し出るのが基本的な手順です。断られた場合は、事業所ごと変更するか、地域包括支援センターに相談することもできます。
事業所ごと変更する、地域包括支援センターに相談する、市区町村の介護保険課に相談するという3つの方法があります。「断られたから終わり」ではなく、次の選択肢があることを覚えておいてください。
新しい月のサービスが始まる前、中旬〜下旬頃に相談し始めると、事務手続きやサービスの引き継ぎが最もスムーズに進みます。
基本的にサービスはそのまま継続できます。新しいケアマネジャーが決まれば、引き継ぎの実務はケアマネジャー同士で行ってくれます。ご家族がすべてを説明し直す必要はありませんので、安心してください。ただし事務手続きのタイミングによっては、一時的に調整が必要になる場合もあるため、早めに動くことをお勧めします。
直接伝える必要はありません。担当のケアマネジャー本人ではなく、事業所の管理者(責任者)に連絡するのが基本的な進め方です。「相性の問題」や「専門分野の希望」など、相手を責めない理由を伝えるだけで手続きは動き出します。感情的な対立を避けるためにも、窓口を通じて伝えることをお勧めします。
訪問介護でカバーできない家事の負担を感じている方には、プロの家事代行サービスの活用もひとつの選択肢です。


