
こんなお悩みはありませんか?
- 親の介護って、いつから始まるの?
- 介護は突然始まるって本当?
- 介護を始めるタイミングが、いまいちよくわからない…
- いざという時、どこに相談すればいいんだろう?
要介護(要支援)認定を受けている人は、75〜79歳で約11%、80〜84歳で約26%、85歳以上になると約6割にのぼります。ただ、実際の介護は、認定を受けるずっと前の「ちょっとした手助け」から静かに始まっていることが少なくありません。
介護の始まり方には、入院のようにわかりやすい「突然型」と、変化が見えにくい「じわじわ型」の2通りがあります。見逃されやすいのは後者で、「何となくしていた手助けが、実は介護だった」ということも珍しくありません。
この記事では、介護が必要になる年齢の目安から、じわじわ始まる介護に気づく5つのポイント、迷ったときの相談先までを、元ケアマネジャーの視点でお伝えします。介護が始まる前の方も、すでに手助けを始めている方も、どうぞ最後までお読みください。
元ケアマネジャー歴14年(支援300件以上、相談1000件以上)。すでに介護が始まっているのに、自覚のないご家族が多いのが現状です。介護の始まりを早い段階で察知できるよう、年齢の目安と気づくポイント、相談先をまとめました。
この記事でわかること
- 親の介護が必要になりやすい年齢の目安
- 「じわじわ始まる介護」を見逃さない5つのポイント
- 離れて暮らす親の変化に気づく見守りの工夫
- 迷ったときの相談先(地域包括支援センターなど)
親の介護は何歳から?年齢別の要介護認定率
親の介護が始まる年齢に、決まった基準はありません。ただ、要支援・要介護の認定を受けている人の割合を年齢別に見ると、目安は見えてきます。
年齢別・要介護(要支援)認定率
出典:厚生労働省「介護保険制度の概要」(令和7年7月)掲載の年齢階級別の要介護認定率(2024年9月末認定者数〔介護保険事業状況報告〕、2024年10月1日人口〔総務省統計局人口推計〕から作成)をもとに、当サイトにて図表化
65〜69歳では約3%ですが、75〜79歳で約11%、80〜84歳では約26%と、およそ4人に1人まで上がります。85歳以上全体では約6割(58.2%)、90歳以上になると約7割です。介護が必要になる人が目に見えて増え始めるのは、75歳前後からと言えます。
ただし、この数字は「認定を受けた人」の割合です。認定を受ける前から、買い物や通院の付き添いといった手助けが始まっているご家庭は少なくありません。親が70代のうちから、この後で紹介する「じわじわ始まる介護」を意識しておくことが大切です。
介護はこんなタイミングでスタートする

介護はどんなタイミングでスタートするのでしょうか?
そのタイミングは、誰にでもわかるほど明確な場合もあれば、なかなか気づきにくい場合もあります。
問題となるのは、介護のタイミングが判断しにくい場合です。気づかないうちに家族の負担が大きくなってしまうことがありますし、介護が必要な高齢者にとっても、介護保険サービスなどの利用が遅れることで、体や生活にさまざまな支障が生じ、元の状態に戻すことが難しくなる可能性もあります。
わかりやすいタイミング
- 病気や転倒などで入院し、退院後に介護が必要になる
これは非常にわかりやすい介護のタイミングです。医療関係者から「退院後は介護が必要です」と具体的なアドバイスがあったり、リハビリの様子を見て「一人での生活は難しいかもしれない」と、自分自身で判断することもできます。
また、入院した高齢者自身の予後や回復の見通しなどについて、医師や看護師、リハビリ専門の理学療法士などに積極的に質問し、アドバイスをもらうこともできます。場合によっては、リハビリ専門の病院へ転院し、身体機能を回復させた後に自宅に戻るという選択肢もあります。
わかりにくいタイミング
困るのは「じわじわと始まる」介護で、いつからスタートしているのか、わかりにくい場合です。
例えば、少しずつ高齢な親の体力が衰え、同居の家族が身の回りの世話を始めていく…こうしたことが、「じわじわと始まる介護」の典型例です。
- 認知症になり、買い物や料理のサポートをするようになった
- お風呂の浴槽をまたぐことができなくなり、入浴を手伝うようになった
- 通院や外出が一人でできなくなり、仕事を休んで付き添いを行っている
- 薬の管理ができなくなったので、薬カレンダーに仕分けをしている
これらは「介護」でしょうか?それとも「身の回りの手伝い」でしょうか?
「何となくしていた手助けが、実は介護だった」ということは珍しくありません。入院のような明確な出来事がないため、介護する側もその変化を認識しにくく、気がついたときには仕事や自分自身の生活に支障をきたすほど負担が大きくなっていることもあります。
さらに、介護が必要な親と離れて暮らしている場合は、会う機会が少ないため、こうした変化に気づくことがより一層困難になっていきます。
ケアマネ目線メモ
ご家族からの相談は、転倒や入院、認知症の症状で「もう困り果てた」という段階になってから入ることが少なくありません。でも、地域包括支援センターは要介護認定を受ける前でも、「なんとなく心配」という段階から相談できます。最初の一歩は「介護が必要かどうかの判断」ではなく、「気になる変化を誰かに話してみること」で十分です。
介護のタイミングに早く気づくには

わかりにくい介護のタイミングに気づくにはどうすればいいのでしょうか。見逃さないポイントは5つあります。
Point1:親の「老い」を受け止める意識を持つ
大切なのは、親が「高齢になったこと」を、家族が意識することです。「外出しなくなった」「痩せてきた」「間違いが多くなった」「物忘れが増えた」などの変化を、年齢と結びつけて「もしかして…」と考えることができれば、次の行動につながっていきます。
自分の親が老いていく姿を受け入れるのは、時に難しいことかもしれません。特に認知症になると、「なぜできないの?」「なぜ忘れるの?」と、つい強く指摘したり、感情的に否定するような言葉が出てしまうこともあるでしょう。しかし、それは決して親を嫌いになったわけではありません。焦りや不安、そして親を思う気持ちがあるからこそ、感情的になってしまうのです。
そんな時は、自分自身の気持ちを抱え込まず、地域包括支援センターなど、適切な相談先につなげていくことが解決への第一歩になります。
MEMO
地域包括支援センター
高齢者の健康面や生活全般などの相談を受け付けている、無料の総合相談窓口です。介護が始まる前でも、高齢者に対する不安や悩みがあれば気軽に相談できます。
Point2:変化を客観的に観察する
例えば、「最近外出しなくなった」という変化に疑問を感じたら、しばらく注意して観察してみましょう。「寒いから」「膝が痛いから」といった身体的な理由、あるいは「気力がない」といった精神的な理由など、外出しなくなった背景が見えてくるかもしれません。
「寒さ」が原因であれば、暖かくなれば元に戻るかもしれませんし、「膝の痛み」なら早めの受診が必要になります。「気力がない」場合や、理由がわからない状況であれば、これも地域包括支援センターなどの相談先につなげていく必要があります。
「間違い」や「物忘れ」が増えたのであれば、その頻度を観察してみましょう。2〜3日に1度程度なのか、1日の中で何度も起こっているのかで、深刻さが変わってきます。
Point3:積極的にコミュニケーションを取る
一緒に暮らしていても、実はあまり話す機会がない家族も珍しくありません。しかし、何かしら変化を感じたときは、積極的にコミュニケーションを深めることが大切です。普段の生活でも、話してみないとわからないことは多いですよね。
「痩せてきた」のであれば、「食事が美味しく食べられているかな?」「偏りはないかな?」などと、優しく聞いてみると、状況がわかってくることがあります。歯の不具合や、朝食を抜いている、あるいは買い物に行けなくなっていたなど、理由がわかれば解決策が見えてくることも少なくありません。

Point4:離れて暮らす親の見守り|「見守る目」を増やす
親と離れて暮らしており、年に1回程度しか帰省しない場合、介護のタイミングを察知することは非常に難しくなります。そのような場合には、見守る目を可能な限り増やしておくことが重要です。
親の住まいにある地域包括支援センターや民生委員に「高齢の親が一人で暮らしている」ことを伝え、何か異変があれば連絡してほしいと伝えておくとよいでしょう。特に地域包括支援センターは、高齢者に関する総合的な相談窓口であるため、介護に関する不安や心配事があれば、早めに相談してみることを強くおすすめします。
可能であれば、親の住む地域の体操教室へ参加してもらったり、「介護予防・日常生活支援総合事業」のサービスを利用したりすることで、見守る目がさらに増えていきます。
MEMO
民生委員
社会福祉の増進のために、地域住民の立場から生活や福祉全般の相談や援助活動を行っている人です。
介護予防・日常生活支援総合事業
高齢者が安心して住み続けられるように、市町村が中心となって取り組む介護予防のサービスです。
近隣の住民や親しい友人がいれば、自分の連絡先を添えて「気になることがあれば連絡してください」と伝えておくのも一つの方法です。
見守る目を増やすことで、親の変化や異常に早く気づけるようになります。特に地域で取り組む介護予防のサービスは、介護の専門家や医療関係者が関わる場合も多いため、変化があれば対応まで含めて関わってくれることも期待できます。
Point5:親の持病を把握する

親の病状や現在受けている治療状況を把握しておくことも大切です。
例えば糖尿病であれば、食事制限のみなのか、毎日服薬しているのか、インスリン注射を打っているのかで、病気の管理の程度がわかります。もっと病状を詳しく知りたければ、通院に同行して医師の話を直接聞くと良いかもしれません。
病気について尋ねても詳しく答えてくれない場合は、服用している薬をさりげなくメモして、インターネットで調べてみるという方法もあります。飲んでいる薬がわかれば、どんな病気で治療しているのか、おおよそ推測できます。親自身が病状を正確に認識していないこともあります。薬の情報から治療の内容をつかみ、正しく服用できているかもあわせて確認してみましょう。
よくある質問
決まった年齢はありませんが、要介護認定を受ける人の割合は75〜79歳で約11%、80〜84歳で約26%と急に上がります。75歳前後が目安ですが、認定前から手助けが始まることも少なくありません。
認定率が約2倍に上がる75歳の手前、70代のうちから親の様子を意識し始めるのがおすすめです。帰省のときに変化を見ておき、親の住まいの地域包括支援センターの場所も確認しておくと安心です。
認定の有無ではなく、買い物・入浴・通院の付き添い・薬の管理など、日常の手助けが繰り返し必要になったかが目安です。迷う段階でも、地域包括支援センターに相談できます。
民法877条で直系血族の扶養義務が定められていますが、自分の生活を維持したうえで、余力のある範囲で支援すれば足りるとされています。自分の生活を犠牲にしてまで介護する義務ではありません。
まずは親の住まいの地域を担当する地域包括支援センターです。高齢者やそのご家族が無料で相談でき、要介護認定を受ける前の「なんとなく心配」という段階でも利用できます。
まとめ:介護は「早く気づく」と「早く相談する」がカギ
介護が始まったタイミングを認識できない期間が長くなると、家族への依存度が強まり、新たに介護保険サービスを利用しようとしても親自身が拒否してしまい、導入が難しくなることがあります。専門的なアプローチが遅れてしまい、結果として身体状況や生活の質が低下する可能性が高まります。
介護がスタートしたタイミングを早く見極め、必要な人や窓口に早い段階で相談することが、家族も親も安心して過ごすための大きなカギとなります。



