
「時間帯や日によって認知症の症状が激しく変わる」こんな介護に、心身ともに疲れ果ててはいないでしょうか。実は、これらの症状の裏側には、認知症そのものだけでなく、「水分不足(脱水)」が隠れているケースが多くあります。
「夜中に急に暴れた」「食欲がまったくない」「急に歩けなくなった」という相談の背景には、水分不足が関係しています
ーーどの段階でどんな症状が出るのか。その全体像を図解で整理します。
元ケアマネジャー歴14年(支援300件以上、相談1000件以上)の現場経験と生理学の知識をもとに、実際に効果のあったケアを図解にまとめています。

高齢者の体は「水分の貯蔵量」が少ない
成人の体内水分は体重の約60%ですが、高齢者では約50%まで低下しています。体重50kgの方なら、体内に蓄えられる水分は25,000ml(25リットル)。その1%、たった250mlが失われるだけで、体調に影響が出始めます。

水分が1〜2%不足すると、まず「行動の変化」として現れる
水分が1〜2%不足すると、集中力や注意力が落ち、イライラしやすくなります。認知症がある方では、この段階で不穏(落ち着かない・騒がしくなる)な状態が出やすくなります。
2〜3%不足すると体温が上がり始め、血液がドロドロになります。認知症の方では混乱がさらに強まります。
5%に達すると幻覚が生じ、意識の混濁が始まります。

10%の水分不足は、命に関わる
夏の熱中症で亡くなる方の多くが、この10%の脱水状態に陥っています。軽度の脱水でも認知症に影響が出るので、「様子がおかしい」と感じたときは、まず水分補給を見直してください。

毎日2,400〜2,800mlの水分が失われている
食事や体内でつくられる代謝水でも補えますが、それだけでは足りません。意識的に飲み物として補給しなければ、毎日少しずつ水分が不足し続けることになります。
高齢者は喉の渇きを感じにくいため、自覚がないまま水分不足が進んでいることがあります。

1日の飲み物からの水分補給の目安は1,500ml以上です。
1日を通して必要量の水分が摂れるように、食事の前後・起床直後・就寝前などのタイミングで、意識的に補給する習慣をつけましょう。

この記事でわかったこと
- 1日1,500mlを目安に、喉が渇く前から意識的に水分補給を続けることが予防の基本
- 高齢者は体内水分量が少なく、たった1%の不足でも体調を崩しやすい
- 水分不足は段階的に悪化し、認知症の不穏・混乱・幻覚・意識障害の引き金になる



