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【ケアマネが解説】認知症の方が「飲まない」を解消!脱水・症状悪化を防ぐ水分管理術

2024年8月3日

💡 はじめに

認知症を発症すると、ご自身で「喉の渇き」や「水分の重要性」を認識しづらくなり、水分補給が不十分になりがちです。しかし、水分不足は認知症の症状(周辺症状)を悪化させる最大の原因の一つです。

在宅介護の現場では、ご家族だけでなく、私たちケアマネジャーでさえも、日々の水分摂取量を正確に把握し、具体的な「水分管理」まで踏み込めているケースは多くありません。そのため、「水分をしっかり摂って」という漠然とした声かけに留まってしまいがちです。

この記事は、現場で多くの認知症高齢者に関わってきたケアマネジャーである筆者が、その専門的な視点から、在宅介護で悩むご家族や介護者の方へ向けて、認知症の方が効率よく水分補給できるようになる「飲ませ方の工夫」と「具体的な管理方法」を具体的にお伝えします。

この記事でわかること

  • 高齢者に必要な水分量の疑問が解消する
  • 飲みたがらない方に水分を摂らせる具体的な方法
  • 日々の水分摂取の簡単な管理方法と注意点

💧 認知症の方の水分補給にまつわる「4つの不安」を解消!

高齢者は1日に1,500ml以上の水分を摂る必要があります。特に認知症の方は水分補給が不十分になると落ち着かない症状(周辺症状)が悪化していくので、水分管理は非常に重要なポイントとなります。

しかし、水分摂取については以下の疑問や不安の声もよく聞かれます。

1,500mlも本当に飲む必要があるの?

💡【結論】
1日1,500ml以上の水分摂取は、脱水予防と症状安定のために必要不可欠な量です。

  • 失われる水分量

私たちの体からは、尿や汗、呼吸などで1日に2,400~2,800mlもの水分が排出されます。

  • 補給の重要性

認知症の方は、特に水分補給が不十分になると、落ち着かない症状(周辺症状)が悪化しやすいことがわかっています。

体内の水分の出入りを説明した図

食事の前に水分でお腹がいっぱいにならない?

💡【結論】
極端な量を一気に飲まなければ問題ありません。1日を通して1,500ml以上を目指しましょう。

  • 水分補給のメリット

適度な水分は意識をはっきりさせ、噛む力や唾液の分泌を良くします。誤嚥(食べ物が誤って気管に入ること)の改善にもつながり、食事を安全に楽しめるようになります。

  • 工夫点

心配な場合は、1日トータルで1,500ml以上を目標に、食事前の水分量を少なめに調整してみてください。

水分を多くとると夜間のトイレが増えるのでは?

💡【結論】
日中の水分摂取量を増やしても、夜間のトイレには影響しないケースが多いです。むしろ、夜間排泄の改善につながることがあります。

  • 夜間トラブルの原因

水分不足で脳への血流が悪化すると、意識がぼんやりし、日中に居眠りしがちになります。その結果、夜間の睡眠が浅くなり、少しの尿意でも目が覚めてしまいやすくなります。

  • 水分摂取による改善

日中に必要な水分をしっかり摂ることで、意識がはっきりし、活動性が向上します。全身の血流が良くなり、尿も日中に活発に作られ排出されるため、夜間の尿量が減り、トイレで起きる回数が少なくなる可能性があります。

結論から言うと、日中の水分摂取量を増やしても、夜間のトイレには影響がありません。

日中に活動して尿を排せつすると熟睡できる図
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飲むのを嫌がる・すすめても飲まないときは?

水分を摂るように勧めても、少量しか口に含まない、あるいは全く飲もうとしないことがあります。そんな場合は「飲ませ方の工夫」が非常に重要となります。

Memo

無理強いはしない(拒否反応に注意)
強制的な水分摂取は、認知症の方に強い感情的な拒否反応を引き起こし、かえって飲むことを困難にします。まずは以下の具体的な工夫で優しくアプローチしましょう。

【飲ませ方の工夫】飲みたがらない人に飲ませる3つの方法

「どうせ飲んでくれない」と諦める必要はありません。ここからは、認知症の方の特性や嗜好に合わせて、無理なく水分摂取を促すための具体的なアプローチを3つご紹介します。まずは一つから試して、反応を見てみましょう。

好きな飲み物や意外な飲み物を試す

昔好きだった飲み物や、普段出していない飲み物を試してみましょう。

💡【試してみる例】

  • 冷たい麦茶やほうじ茶
  • 季節の飲み物(冬のココア、夏のレモネードなど)
  • あえて普段と違うコップや湯呑で出してみる

ジュースなどの甘い飲み物は、血糖値の急激な変動を招き、再び甘いものを欲する悪循環に陥りやすくなります。嗜好品として少量に留めましょう。

「食べる水分」を取り入れる

飲み物として摂取が難しければ、口に運びやすい「食べる水分」を活用しましょう。

💡 【食べる水分:特徴と効果】

食べる水分特徴と効果
寒天ゼリー
心太(ところてん)
水分が豊富で食物繊維も多く、便秘解消にも役立ちます。
経口補水ゼリー水より補水効果が高く、体内への吸収スピードも早いのが特徴。軽度の脱水や落ち着かない症状が出ているときの応急処置として活用できます。

経口補水ゼリーはカリウムや糖分を含むため、腎臓病や糖尿病などで制限がある方は、必ず事前に医師にご相談ください。

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「ちびちび飲み」は回数を増やす

    一口しか飲まない方には、「今、飲む」という習慣をつけることが大切です。

    💡 【対応策】
    一度に多く飲ませようとせず、根気よく飲む回数を増やします。「一口飲んで、少ししたらまた一口」と、小まめに促しましょう。

    💡 【介護の負担軽減】
    家族介護者にとって負担が大きい場合は、デイサービスなどの介護保険サービスで「飲む習慣づけ」を要望として伝え、任せるのも有効な手段です。

    【簡単な管理術】1日1,500mlを達成する3つのステップ


    目標量である1日1,500ml以上の水分摂取を達成するための、具体的な管理方法をご紹介します。

    Step1:水分摂取のスケジュールを立てる

    1回の飲水量1日の目標回数合計飲水量
    200ml(コップ1杯強)8回1,600ml
    150ml(標準的な量)10回1,500ml

    朝から就寝前までの間に、回数を決めて管理すると、意外と簡単に目標量を達成できます。

    Step2:決めたカップで計量する

    いつも使うカップ(湯呑やマグカップ)に注いだ水分量をあらかじめ測っておきましょう。

    💡【記録の効率化】
    「このマグカップ1杯=250ml」と把握しておけば、「マグカップ×6杯」など、計量が容易になり、記録も楽になります。

    Step3:配分を工夫する

    夜間のトイレを気にする場合は、日中の配分を多めに調整しましょう。

    💡【配分の例】
    夕方まで(起床時〜17時頃): 目標量の約7~8割を集中して摂取する
    それ以降(夕食時〜就寝前): 残りの2~3割を摂る

    Memo

    夕方になると落ち着かない症状(周辺症状)が悪化する場合は、それまでの水分が足りていない可能性があります。夕方までの摂取量を増やす工夫をしましょう。

    💡【特におすすめ! 起床直後の水分補給】
    就寝中は水分を摂らないため、血液が濃縮された状態になっています。脳梗塞のリスク軽減のためにも、起床したらまず「コップ一杯の水」を飲む習慣をつけましょう。

    冷たい水は腸を刺激し、便秘解消にも効果が期待できます。

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    水分摂取で必ず守るべき注意点

    水分補給は体調管理に不可欠ですが、持病や服用中の薬によっては、水分摂取量に制限が必要な場合があります。安全を確保するため、以下の重要な注意点を必ずご確認ください。

    ⚠️水分制限のある方

    心臓病や腎臓病などで水分制限の指示がある方は、必ず医師の指示に従ってください。自己判断で水分量を増減させることは、病状の悪化につながるため大変危険です。

    ⚠️持病や服用薬がある方

    糖尿病の方や利尿剤を服用している方は、排出される尿量が増えるため、1日の水分摂取量を1,800ml程度に増やして調整することを目標にしてみましょう。

    まとめ

    認知症の方にとって、水分摂取は症状を大きく左右する非常に重要なケアのポイントです。

    • 落ち着かない症状(周辺症状)
    • 意識のぼんやり
    • 意欲や活動性の低下
    • 歩行の不安定さ

    など、「いつもの様子と違う」と感じたら、まずは水分不足を疑い、速やかに水分補給を試みてください

    高齢者の方の意識的な水分摂取は、認知症の予防にもつながります。この記事で紹介した方法を参考に、日々の水分管理にぜひ役立ててください。

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