
夕方になると、急に「帰る」「もう行かなきゃ」と繰り返す。さっきまで穏やかだったのに、夕食の準備をする時間帯になると決まって落ち着かなくなる。
そんな状態が毎日続くと、介護する家族も「また始まった…」と心が折れそうになります。
でも、その原因が「不安」や「認知症の悪化」ではなく、体の中の水分不足にあるとしたら? 夕暮れ症候群と脱水の関係を、図解でわかりやすく解説します。
元ケアマネジャー歴14年(支援300件以上、相談1000件以上)の現場経験と生理学の知識をもとに、実際に効果のあったケアを図解にまとめています。

夕暮れ症候群とは
夕暮れ症候群とは、夕方から夜にかけて認知症の症状が一時的に悪化する状態です。「帰りたい」「出かける」などの行動や、興奮・混乱があらわれやすくなります。


水分不足と認知機能の関係
脳は体重の約2%の重さですが、全体の水分の約75%を含んでいます。水分が少し減るだけで脳への血流が落ち、集中力・判断力・感情のコントロールが低下します。認知症がある方は、この影響をより強く受けやすい状態です。


夕方に水分が減りやすい理由
人は日中の活動や呼吸・発汗を通じて少しずつ水分を失います。高齢者は口渇中枢(喉の渇きを感じる脳の機能)が衰えているため、気づかないうちに脱水が進みます。朝から補給が不十分なまま夕方を迎えると、認知機能が一気に低下しやすくなります。

脱水→脳血流悪化→症状悪化
脱水が進むと血液が濃くなり、脳への血流が悪化します。この状態では感情の調節がうまくいかなくなり、不安・混乱・興奮があらわれやすくなります。夕暮れ症候群の「不穏な行動」の背景に、こうした身体的な変化が隠れていることは少なくありません。
こうした症状は、適切な水分補給を続けることで改善できるケースが多くあります。

経口補水液を常備しておこう
脱水の補正には経口補水液(OS-1・アクアソリタなど)も有効ですが、毎日飲み続けるものではなく、脱水が気になるときのサポート的な使い方が基本です。日常的な水分補給は、普段の飲み物で少量ずつこまめに補うことを意識してください。

1日の目安量
水分制限がない方は、1日1,500〜2,000mlを目安にしてください。朝・昼食後・午後・入浴前後など、タイミングを固定すると習慣化しやすいです。
1回量は少量でも構いません(その分、飲むタイミングを増やしてください)。お茶・白湯・スープ・ゼリーなど、本人が飲みやすいものを組み合わせてみてください。
※ただし、甘い飲み物は摂りすぎないよう注意が必要です。

この記事でわかったこと
- 夕暮れ症候群は認知症の悪化ではなく、脱水が引き金になることがある
- 高齢者は喉の渇きを感じにくく、気づかないまま夕方に水分不足になりやすい
- 時間を決めた水分補給を習慣にすることで、夕方の不穏を予防・軽減できる






